人が一杯。日本の木材加工場とは全く違う。黙々と仕事をしている。一つの窓枠の周りに四人も五人も寄ってたかっている。手袋を嵌めて雑巾のような布で塗料を塗りこんでいる。ハケではない。一つの窓枠を組み立てるのに四方八方から寄ってたかって抑え込んでいる。日本の基準から見れば、この状態は良いことでも心配なことでもある。良いことは沢山の人達が仕事を得ていること。心配なことは給料がどのくらいかということ。聞いてみると、インドの基準からすれば良い収入であるという。日本の木材加工場にはこんなに人がいない。優秀な切削機械が3Dドローイングに従って複雑な形態をあったという間に掘り上げてしまう。難しいところだけ優秀なおじさん出てきて、トントンと美しく仕上げる。ほとんど芸術品である。しかし私はインドで見たこの情景に親しみが湧いた。
どちらが良いとは言わない。しかし少なくとも、ここの製品は日本のどのプロジェクトに使っても申し分ない。複雑な要求にも応えてくれる。日本では断られるサイズの窓を文句なしで当たり前のように作ってしまう。
インド人の笑顔は花のように素晴らしい。ニコニコしている。気がつくとつぶらな瞳がキラキラと輝いて私を見ている。気のせいか。。青いシャツが気になるのか。。。。もしかすると私が見学に来ていると思っているのは間違いではないか。我々の方が迷い込んだ珍獣かもしれない。
若者が沢山。これも日本とは違う。日本の工場で働いている人々は、とても博識がある大学教授のように見える。むしろ知ったかぶりの大学教授よりよっぽど役に立つ猛者。一方でここは若々しい。何か知らないが一生懸命働いている。昭和時代に放映された寅さんの映画をみるとこういう情景がある。
インドには推定15億人の人がいる。作る人がいて使う人がいる。経済は国内で回ってしまうから、外国に頼る必要がない。だからみんな働く。働いてお金を稼いで家族を養う。ここではこれが正しい。