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二日目 その2

2022/12/2

大変な悪路が始まった。日本の砂利道とは全く違う。泥道を疾走するラリーというのがあるが、あんな感じである。そういうところをごく普通のスズキの車が文字通り疾走している。

インドの乗用車マーケットはスズキが席巻している。どこを見てもスズキである。小型でどこでもスイスイ入ってゆくので便利なのであろう。アンバセダーという純正クラシックカーの容貌の純正インド車が私は好きだったのであるが、ほとんど生き残っていない。20年前はアンバセダー一色だったのが、全部スズキになっている。そこにTATAというインドメーカーのトラックやバスが走っている。このTATAという車はものすごい迫力がある。他の国でこのTATAという車種は見たことがない。国内だけで10億人を抱えるこの国は、輸出しなくてもやっていけるのであろう。さながら自然保護区の動物という感じである。スズキが人だとするとTATAはゾウである。全く別の動物と言って良い。その隙間をチョコマカとオートバイが走り抜ける。三人乗り四人乗りのノーヘルである。違法らしいが、これだけ多いと取り締まりようがないし、取り締まる気配もない。TATAゾウは怖い。アメリカンフットボールのヘルメットのようにフェイスガードが付いている。ぶつかるから覚悟セエヨという威嚇が滲み出てあまりある。その面構えにニュージーランドのマオリ族のようにフェイスペインティングが入っている。インドの道ではこれが大切なのである。追い越し車線がなくて、追い越す時は対向車線に出る。当然反対車線の車が向かってくる。その時、こっちの方が強いぞ、と言っておかないと負けてしまうのである。負けた方は諦めて道を譲る。

マオリ族にはハカというダンスがある。これは戦闘を始める前の儀式で、顔一杯に怒りを表現して相手を脅す。日本の子供がやる「アッカンベー」のプロフェッショナル版である。敵対する表現であるが、実は戦争を出来るだけ避ける為の知恵でもあるという。お互い虚勢をはりあって気を済ますのが目的であったという。インドのTATAトラック同士の戦いはこのハカと同じではないかと思う。顔面いっぱいに怖ろしげな刺青を讃えて脅かしあいをしている。

そしてどうしてもハカで決着がつかない時はそのままアメフトのフォワードのように激突する。そういうシーンを幾度か見た。恐ろしいが、地元の人は気にしない。人も死んでいない。そのバトルの間を縫うように我々の車は疾走する。同行している所員のポルトガル人のルイジはクレイジークレイジーを連発している。なるほどこれはマニ車がダッシュボードに必要なわけだ。御利益にすがらないと生き残れない。

インドの乗用車マーケットはスズキが席巻している。どこを見てもスズキである。小型でどこでもスイスイ入ってゆくので便利なのであろう。アンバセダーという純正クラシックカーの容貌の純正インド車が私は好きだったのであるが、ほとんど生き残っていない。20年前はアンバセダー一色だったのが、全部スズキになっている。そこにTATAというインドメーカーのトラックやバスが走っている。このTATAという車はものすごい迫力がある。他の国でこのTATAという車種は見たことがない。国内だけで10億人を抱えるこの国は、輸出しなくてもやっていけるのであろう。さながら自然保護区の動物という感じである。スズキが人だとするとTATAはゾウである。全く別の動物と言って良い。その隙間をチョコマカとオートバイが走り抜ける。三人乗り四人乗りのノーヘルである。違法らしいが、これだけ多いと取り締まりようがないし、取り締まる気配もない。TATAゾウは怖い。アメリカンフットボールのヘルメットのようにフェイスガードが付いている。ぶつかるから覚悟セエヨという威嚇が滲み出てあまりある。その面構えにニュージーランドのマオリ族のようにフェイスペインティングが入っている。インドの道ではこれが大切なのである。追い越し車線がなくて、追い越す時は対向車線に出る。当然反対車線の車が向かってくる。その時、こっちの方が強いぞ、と言っておかないと負けてしまうのである。負けた方は諦めて道を譲る。どうしてもハカで決着がつかない時はそのままアメフトのフォワードのように激突する。そういうシーンを幾度か見た。恐ろしいが、地元の人は気にしない。人も死んでいない。そのバトルの間を縫うように我々の車は疾走する。同行している所員のポルトガル人のルイジはクレイジークレイジーを連発している。なるほどこれはマニ車がダッシュボードに必要なわけだ。御利益にすがらないと生き残れない。

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