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五日目 修理

2022/12/2

ブータン国境手前の村、ボングレンに向かう。谷の向こうに見えるので歩くのかと思ったら、そんなことをしたら一日かかるという。そうか。ここはヒマラヤなのだ。谷一つでも1000メートルの落差がある。だからそばに見える村も実はものすごく遠いのだ。道も恐ろしく狭い。しかしここまで狭くなると、ゾウのようなTATAトラックは来ないから気が少し楽である。2時間の道のりである。一台だけスズキとすれ違った。やはりインドの獣道を抜けるときは小さなスズキに限る。途中にマニ車の入っている社があった。水車が社の下にあってマニ車を回す仕組みになっている。壊れていて回らない。すると地元の案内をしてくれる先生が修理を始めた。日本のお姉さんでは考えられない行動力である。男はオタオタと見ているだけで役立たずである。石を拾って外れていた楔をトントン打ち込むうちに直してしまった。ちなみに彼女は通訳としてきている。隣の村であるが言葉が通じないのだ。モンパには11の言葉があって、谷ごとに分かれている。彼らにとってインドだの中国なのだというのは、星のごとく遠い存在で、とりあえず隣の村と話すのにも通訳が必要なのだ。

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