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五日目 集落ボングレンの畑

2022/12/3

蒼々と畑が茂っている。茂っているというのは、蔓が入り混じり豊かに豆を着けているからである。畑というのは同じ種類の作物が整然と並んでいるものだと思っていたが、ここでは入り混じることで健康に育っている。きゅうりが大きい。直径10センチ長さ25センチぐらい。これをモンパの人々は半円形に湾曲したナイフで器用に切り分ける。ナイフはこのきゅうりを切るだけのために進化発展を遂げた。皮を剥くのも輪切りにするのもこのナイフ一本で俎板は使わない。地域ではきゅうりが万能の突き出しである。厚さ7ミリほどの輪切りに切り分けて、煎餅でも入れるかのような器一杯に盛られて出される。どうぞどうぞと勧められて食べるが、際限なく出てくる。ゲンラはそれをスイカでも食べるように消費しているが、とても真似はできない。きゅうりは摘むもので頬張るものではない。すると味噌のようなものが出てきた。これをのせて齧るとうまいぞという。きゅうりと味噌の相性はいいに決まっている。早速味噌のようなものをのせて齧ると、懐かしい味が口一杯に広がった。少々辛いがこれは間違いなく味噌きゅうりである。日本を出て1週間ほどしか経っていないのに、日本が懐かしくなった。遠いところまで来たものである。信州の宿できゅうりの味噌和えを摘んだ酸っぱい匂いが蘇った。お土産にこの巨大きゅうりを二つ頂いた。飛行機にはのせられない。どうしよう。

https://youtube.com/shorts/I_l1WrxCjrI?feature=share

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