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究極のハンバーグ

2022/1/24

ハンバーグというのは、日本家庭における夕食の定番である。子供は皆ハンバーグが大好きである。「好きな食べ物はなあに」と世間の子供達に声かけると、かなりの数の「ハンバーグ」という答えが返ってくる。しかし、彼らの殆どは知らないのだ。究極のハンバーグを。今日それを作った。言ってはなんだが、食通の我々は色んな専門店に足を伸ばすが、今日のハンバーグを超えるものは一つもなかった。美味い。美味い。
うちの娘は田園調布雙葉出身である。小さい頃から喧嘩が一切できない娘である。だから公立に入れるとイジメられてしまうだろうと心配して、優しさで有名な田園調布雙葉に入れた。かつて田園調布雙葉にはお弁当という科目が入学試験の際に課されていた。本人だけでなく家庭も選ぶという意図であるとおもう。本人ではなく家庭を選ぶというのは、言うまでもなく社会的に不平等である。よって今の風潮に合わないということだろうか。。科目から消えてしまった。弁当は家庭状況を選ぶ鏡である。私は娘の人生をかけて弁当に挑んだ。究極の弁当である。試験会場である教室で娘は弁当を開けた。当然圧勝。娘の弁当の周りには子供が群がった。先生は当然のように「お母さんが作ってくれたの?」と聞いた。答えは「パパ!」。そのあと校長先生と教頭先生の面接があった。「お父さんが作ったんですか?」「はい。」得意満面。娘の受験なんだが。。。それだけではなかろうが、合格!保育園時代からぶなちゃんのパパのハンバーグは有名である。娘が小学校6年の時のことである。お昼の校長先生のお話。「皆さんに先日好きな食べ物を一つ選んでくださいといお願いをしました。そのお返事の中で一人だけ特別のお返事をしたお友達がいました。手塚無捺さんです。無捺さんは「パパの作ったハンバーグ」とお答えになりました。誰が作ったかと言えることは良いですね。」そう。私のハンバーグは特別なのだ。
本日のハンバーグの材料。合い挽き1キロ。玉ねぎ小6個。生姜。キャベツ。卵2個。牛乳。塩。パン。玉ねぎを細かく刻んで飴色になるまで炒める。5分ほどかかる。玉ねぎの甘さと旨味が飴色に溶け込んでいる。炒め玉ねぎは味の幹。生姜も細かく刻んで途中で加える。ボールにあけて冷やしておく。肉に塩を入れて揉み込む。肉は肉だけ。他とは混ぜない。しつこく混ぜるとペースト状になる。そこに生卵2個を入れて更にしっかり練る。このプロセスをサボるとしっかりした生地が出来ず、焼いている時に割れてしまう。割れると肉汁が漏れる。パンをフードプロセッサーにかけて牛乳と合わせる。生クリームのようになる。巷の料理本にはパン粉と書いてあるが、絶対に本物のパンの方が美味い。しっかりと汁を含んでくれる。キャベツ少々を細かく刻む。それらを全部合わせてしっかり練る。練ったものを200g程度に固めて寝かせる。空気をしっかり抜く。抜いておかないと綺麗に膨らまない。小麦粉を少しまぶして汁が漏れないようにコーティング。少しだけ。小麦粉がたくさんつくとモタついた味になる。私のハンバーグは平たく潰したりしない。可能な限り分厚くまとめる。自重で潰れるギリギリの形。薄かったら旨味が逃げてしまう。ステンレストレーにツヤツヤの美しい塊が整列する。しばらく寝かせる。一時間ぐらい。フライパンは重い鉄のデバイヤー。フッ素コーティングはどうしても好きになれない。くっつかなくて料理が楽なことはわかっているが、なんか毒を食べるような気がして。。。科学的根拠はない。なんとなく。道具にはこだわる。中火で焼く。焦げかけるまで、絶対にひっくり返さない。誘惑に負けていじると割れる。じっと待つのだ。。大体3分かかる。焦げ目がついたらひっくり返して3分。両面しっかり焼いたらトレーに出す。3分寝かせる。両面1分ずつ焼いてまた3分寝かせる。また両面1分ずつ焼く。余熱が旨味を生む。これで出来上がり。ナイフを入れると閉じ込められた肉汁がじゅわっと出てくる。ソースなんていらない。ケチャップなんておよびじゃない。本物の素材だけの野趣。味は表現不可能。喉奥でうまさ炸裂。やってみてください。多分上手くいかない。そういうもんです。そう簡単にはいかない。ちょっとしたニュアンスは伝えられません。ごめんなさい。

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