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音響は写真に写らない。しかし光と並んで空間にとって最も大切な要素である。写真は成城学園前に作ったジャズライブハウスであるが、私にとっては教会や学校に限らずありとあらゆる作品において、音は大切な要素である。音は吸音しすぎてもいけないし、反響しすぎてもいけない。音の柔らかさも大切である。コンクリートをはじめとした現代の建材は、硬い音をはね返す。もちろん美術館など非日常空間を演出する場合はコンクリートでも良い。しかし大半の日常において、人の心は柔らかく自然な音響を求める。

写真は最近竣工した成城学園前駅真正面に位置する小さなジャズライブハウスである。内部には細かい木材が少しずつ角度を変えて設置されている。一つとして同じ反射角のない特殊な幾何学である。建築の専門用語ではHPシェルという。少しずつ面をねじることによって生まれる。木材の一本一本の太さと奥行きが違わせ、音を回折させる。光と違い音は勝手に回折してくれない。壁裏には超低音域を処理できる特殊な吸音材を入れている。空間そのものが楽器の部屋。世界最高の音質の空間だと思っています。

とはいえ、最終的にライブハウスの音の質を決定するのはミュージシャンの技量。その点このジャズライブハウスは超一流。行ってみてください。

https://themoment.tokyo

http://www.tezuka-arch.com/works/store/the-moment-jazz-club/