バリ島に喜んで行く

バリ島に、アマンリゾートがあるんです。ここを創めた人は亡くなってしまって、もはや建築家もいません。いまやインターナショナルな企業になってしまったけど、もともとの思想がおもしろかった。客室である建物は外にあります。ホテル代は高いんですよ、安くても一泊25万くらい、50万くらいする部屋もあって、世界中からわざわざ、ファーストクラスに乗ってくるお客がたくさんいます。だけどね、そこに行ってみると、自分の寝る部屋だけは冷房が入っているけど、結局、寝る時以外はみんな外で時間を過ごす。

なぜ、そんなお金かけて、外で過ごすのか。最近、似たようなリゾートホテルができました。ここも値段が高くて、冷暖房が効いていて、そっちのほうがゴージャスなのに、そっちにはあんまり人は行かない。なんでかって、別に冷暖房が効いているのがよいなら、マイアミにいればいい。場合によってはニューヨークでもいいんですよ。温度が一定なのがほしいんじゃない。そこにあるライフがほしいんですね。
人間のほうが環境に合せるんです。お金をかけて、わざわざ、みんな不快な温度のところに行く。湿度も高いし、雨も降るし、人間って、そんなもんだと思うんですよね。不思議だと思うけど。