開かれたふじようちえん

幼稚園とか保育園、小学校をつくる時に考えるのは、セキュリティーのことです。いつも話題に上がるのは、付属池田小の事件や、バージニア工科大学乱射事件など、学校内で起きたあの悲惨な出来事のことで、人間というのは、少なからずそういう事件を引き起こしてきていると。

じゃあ、不審者が入ってこないように警備をしょう。塀をつくればいいと考えますよね。
でも付属池田小では当時、守衛がいて、犯人となる男を訪問者だと思い通しました。まさか、こんなことになるとは思わないから。それから塀で囲われてもいた。要点は、塀は危険なことを抑止することにならないのです。
しかし、今もいろんなところで塀をつくろうとしていますが、塀があれば人間は物理的に超えていくわけです。じゃあ、どうすればいいんだろう。じつは、「塀はいらない」んじゃないかって。

おもしろい話をしていたのは、ふじようちえんの園長先生で、フェンスはあっても、高いのはつけたくないと。なぜって閉じ込められた空間で、何かが起きたら大変だから。悪いやつが来たら、みんなで外に逃げきっちゃえばいいだろう。外に逃げられないから問題が起きる。塀がなければ、みんながワァーと逃げて終わりじゃないかって。
一応、フェンスは必要だけど、子どもたちの植えた植物かなんかがフェンスに覆われていて、触っちゃいけないかなという感じにして、そのフェンスに登ろうとすると、グニャとするくらいのごく弱い強度で、ガサガサと音がしてフェンスが潰れる。するとみんなが、なんだっていうことになる。これがコンクリートの塀だと、超えられる瞬間までわからないでしょ。ルパン3世だって、わかんないですよ。

もっというと襲撃事件が起きるというのは、その塀がないから起きるんじゃなく、けっきょくその周りとのコミュニティの問題だって。だから、守らなくちゃいけない学校とかの場合、その地域の環境をどうするか、それがものすごく大事になってくる。周辺の人たちの目があって不信な人は「この人、知らない人ね」と、わかるようになってくる。そういう関係が大事なんじゃないかって。