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ポンコツ

2022/3/4

我々家族はポンコツに乗っている。俗にカタツムリと称されるシトロエン2cvである。1948年から1990年の長期に渡り生産されていた。うちのは新しくて、1987年型である。よってクラシックというほどに価値もないのに、十分にポンコツである。雨が漏る。雨が漏るというと、「あー外車はそんなもん」という人もいるが、そんな生優しい雨漏りではない。雨を集めているのではないかと思うほどに水がドンドン入ってくる。ダッシュボードの隙間を抜けて、靴の隙間にもピチャピチャ落ちてくる。ただし良いことに入り口があるということは出口があるということ。誰が作ったのか、床に水抜き穴がちゃんと準備されている。入った水は床のちゃんと出ていってくれる。よくできている。この車は鉄板が薄い。以前自分で車検に行った時のことである。ブレーキの検査があった。「パワーアシストがない車でしょ。」「床が抜けるぐらい踏んでー。」「はーい。わかりましたー。」「エイッ」ボコ!「あ」床が抜けてしまった。これだけ錆びてるとなるほど床も抜けるのか。しかし感心している場合ではない。「またきてください。」そりゃそうです。床が抜けてしまった車で車検通るわけがない。後日ちゃんと穴を修理工場で塞いでもらって車検は無事取得。ほかにも問題なのは、イグニッションコイルという部品。ここはシトロエンカークラブではないので詳しくは書かない。要はプラグを発火させる為に電圧を上げる装置である。これがしょっちゅう壊れる。だから、うちの車は予備コイルを積んで走っている。先週は羽田空港の駐車場でエンジンが掛からなくなった。うちの奥さんも慣れたもので、「あ、またね。」と、慣れた手つきでボンネットを開けてそそくさと配線をつなぎかえてコイルを装着する。これだけ手際よく車を修理できるとはすごい嫁である。するとブルンとエンジンがかかる。それからもう一つ。冷房なんかあるわけがない。夏は暖房,冬は冷房。優秀である。欠点をあげつらうと際限がない。馬鹿げている。うちには他の車がない。なぜこんなポンコツに乗り続けているのか?

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