卒業もしくは修了おめでとうございます。現在パリにいます。講演会の為ですが、交換留学先ラヴィレット建築大学の学生達とも会う予定です。学生達と会うのを楽しみにしています。今急速に日本は国際化が進んでいます。以前は海外で会うのは留学生が殆どだったのですが、今は沢山の卒業生が海外で働いています。私が在籍していた頃は、交換留学生などいませんでした。今や東京都市大学にはフランス、スウェーデン、ノルウェーから6人の学生達が交換留学に来ています。こちらから向かう学生も同様です。そして海外で働いています。これからさらに国際化は進んでいきます。若いうちは恐れずに世界に出てください。就職の事を心配する学生達もいますが、今や終身雇用というシステムはありません。実力主義です。国際化に対応する為なら、就職の遅れは怖がらない方が良いと思います。世界と繋がってください。
近年では働き過ぎ改革という通念が広がっています。確かに家族を大切にすること。或いは体を大切にする事は大切でしょう。しかし、二度と若い時代は戻って来ないということを覚えていていてください。無理は良くありません。ちゃんと寝てしっかり食べる。しかし努力は大切です。アスリートと同じです。「普通であれば良い。」とは間違っても思わないでください。一生懸命努力してようやく普通に生活ができる。皆努力しているのです。それが社会です。普通に何となく仕事するだけの人物は、会社に大切にされません。30才までは先輩が一生懸命教えてくれます。しかしある年齢を超えると、社会の目は厳しくなります。教えてくれなくなります。
今働いている場所を大切にしてください。一生懸命働くと誰かが必ず見ています。叱られることもあるでしょう。しかし、叱られるのは今君が勉強している段階だからです。ある年齢になると叱って貰えなくなります。建築の仕事は難しい。仕事を何となくできるようになるまで5年はかかります。それまで、君達は無数の間違いをしでかします。私もいっぱい間違えました。叱られました。そうして若いうちに学ぶのです。世の中の「働き過ぎ」という甘言に騙されないで下さい。何となく働いていた人は、世の中で望まれなくなります。一方でちゃんと技術を若いうちに身に着けた人は、60や70を過ぎても仕事を頼まれます。一生働ける仕事。それが建築です。AIは建築を作れません。AIに使われるのではなく、AIを使う側になってください。
つながりを大切にしてください。真心をもって誰とも接してください。決して人を裏切らない。後輩も先輩も大切にしてください。会社を退職する時は、発つ鳥水を濁さず。礼をもって師匠や会社とのつながりを大切にする。間違っても退職代行など使ってはいけません。ちゃんと礼をもって退職すれば、つながりは失われません。ある年齢に達するとそのつながりが財産になります。つながりは植林のようなもので、植えてから育つまで時間がかかります。
最後に家族を大切にしてください。家族を作らない人は友達を大切にしてください。建築は人の為に作るものです。人を幸せにする為に建築は作られます。建築は物ですが、目的は人です。建築に関わらない人たちも同じです。人を幸せにできているか。それだけを考えてください。一番大切なつながりです。
私は武蔵工業大学附属高校から教授職に至るまで、45年間この学校にお世話になりました。育てて貰いました。そこで学んだ大切なことは二点。一生懸命働く事。それからつながりを大切にする事。覚えていてください。
東京都市大学
如学会(建築学科卒業生の会)
会長

