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七日目 崖崩れ

2022/12/3

崖崩れがあったという。来た時の道はもう通れない。そうだろうな。くる時もどうしてあそこが通れたのか不思議だった。「滅多に崖崩れには合わないんだけどね。」というのは、「崖崩れの通行止めに合わない。」という意味ではなくて、「崖崩れで君が流されることは滅多にないよ。」ということだと今頃わかった。結局大きく迂回することになった。もうゴウハティの町まで宿はない。ひたすら悪路を走破するしかない。それでもトイレ休憩や食糧の買い出しは必要。現在いるのは行動制限地域であるから通関もある。結局ゴウハティの街まで16時間かかった。

運転手は本物のプロフェッショナルであった。真っ暗な道なき道。私の目には到底道とは思えない。ゲンラさんによれば、この運転手はどんな状況でも必ず突破するお墨付きだそうである。「以前エンジンのファンベルとが切れたことがあってね。夜中の峠道だった。するとベルトを貸してくれって言うんだ。そしたらズボンのベルトを加工して、あっという間エンジン直しちゃったんだよ。」すごい話だが、ズボンのベルトが本物のファンベルトのように保つとは到底思えない。ベルトを取り上げられた客が、落ちてくるズボンを握りしめながら、激しく揺れる車の中で不安に耐えている様が思い浮かんだ。

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