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幼稚園の作り方 その3

2017/9/4

幼稚園を作るのであれば、変わらない価値を探さねばならない。
変わらないものとは何か。
それは主人公が子供であるということである。 子供のための空間とはなんであろう。
これは本来難しい質問ではないはずである。 大人は皆元々子供であったのだから。
今日私は家族を連れてクロアチアのグロズニャンという街に来ている。 毎年子供達はこの街に来ることを楽しみにしている。 しかしこの街には遊具が一つもない。 あるのは床も壁も石でできた古い町並みだけである。
子供達は足を大人であれば挫きそうな凸凹の石畳を日がな一日走り回って一日を過ごす。
何日いても飽きる気配はない。 放っておくと夜中の12時過ぎても走り回っている。
ちなみにこの街は安全である。 街の人たちは皆顔見知り。 車も来ない。これぞ子供のパラダイスである。

幼稚園に遊具が必要になったのはもしかすると街がつまらなくなったからではないだろうか。
園舎がつまらないからではないだろうか。
安全という名のもとに、全ての幼稚園の廊下や園庭は真っ平らになってしまった。
平らな園庭は団体競技をするにはいいだろう。しかし他に何をせよと言うのか。

先ほど文章を書いている私とipadの間に、息子が突然割り込んできた。12 才。
ぎりぎりまだ子供である。この文章を横から流し読むなりまくし立てた。。

「子供の好きなところ・・・・あーそれはね。
まず楽しいところ それから動けるところ 。 探検できるところ。 向こうに何があるか気になる感じ。
それから 入り浸って遊んでいられるところ。 終わりがないこと。 同じところなのに同じところに感じない。
そういうのがいい。」

ごもっともである。子供はよくわかっている。

ちなみに子供のパラダイスは大人のパラダイスであることも気がついた。
ご近所さんが夜中まで道でワインを飲んでいるので、どこへ行っても大人の目があるのだ。
監視する必要はない。

2017年8月6日
手塚貴晴

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