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科学とチベット仏教そして建築

2023/2/15

ここでは仏教の教えと現実界の境界が無い。ブラフマグプタ(Brahmagupta、598年 – 665年以降没)が0の概念を生み出したのは、7世紀のことである。ブラフマグプタの二平方恒等式と呼ばれる式もある。2つの平方数の和で表される2つの数の積が、2つの平方数の和で表せる事を示す式である。  (a2 + b2)(c2 + d2) = (ac − bd)2 + (ad + bc)2.

7世紀はチベットに仏教が伝来した時代である。日本へ仏教が伝来した時期と極めて近い。しかし日本への仏教伝来との違いは、同じ言語であったという点である。日本で仏典を衆生にサンスクリット語で説明しても全く伝わらない。日本では修行を重ねた僧がわかりやすく噛み砕いて得く必要がある。ここでは数字における0の概念と円相の概念が乖離する事なく生き延びている。だから日本で言うところの円相Syunyataは、コンビニで歯ブラシを売っているお兄さんにとっても0 (Shunya)であること(-ta)だと当たり前に理解されているのである。インドという大きな地域単位では、仏教は度重なる侵略により衰退してしまった。その中でヒマラヤ山地では、その険しさ故に仏教伝来時の言語と教えが一体として生き延びているところが実に興味深い。

今回は仏教の教えを学校建築で表現せねばならない。日本にいる間は皆目見当がつかなかったが、この場に立つとさほど無理を感じない。物理も化学も地学も国際関係論も、ここでは仏教というOSの上にいとも簡単に走るアプリケーションに過ぎない。建築も同様である。

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