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2日目 その3

2022/12/2

崖崩れが頻発する山に入る。道幅はせいぜい3メートル。どこまで道でどこから路肩なのかわからない。もちろんガードレールなんか無い。落ちたら何百メートルも落ちる。落ちたら何世紀たっても助けは来ない。谷底の土になって化石になるだけである。そこに対向車が来る。相手はスズキだけではない。アメフトのヘルメットを被った巨像、TATAのトラックもヨタヨタと道路を踏み締めてよって来る。どう見たって通らないのに、どんどん来る。どう見たって勝ち目はないので、こっちが下がる。延々と下がる。日本の若葉マークの運転者では絶対に対処できない。下がると猫の額ほどの足場を見つけて退避する。いつ足場が崩れるかわからない。外は怖くて見れない。トラックは谷側によると自重で路肩を崩すから、山側斜面に肩輪を乗り上げながらすり抜ける。こっちによろめいて倒れそうになるぐらい傾いている。ヤメテという悲鳴が喉まで込み上げる。トラックはディーゼル特有の真っ黒な排気ガスを吹き付けてくる。山崩れで木はとっくの昔に谷の底。薄茶色の岩が凶暴な叫びをあげている。対岸から危険地帯をみると、とても通れるとは思えない。はるか上から下まで延々と崩れている。斜面というより巨大な壁である。そこに細―い溝を作って車を通している。世界で最も危険な道路を連載しているYouTubeがあるが、これはその中でも特級に違いない。

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