大雄寺には巨大な杉並木あった。しかしいずれも400年を超えていない。前回の大津波が1611年であるからである。齢350年から200年である。坂を登るに従い年齢が上がるのは、標高が低い位置は小さな津波に晒されたせいであろうか。しかし比較的若い筈の杉さえ幹周り3メートルを超えているということは、その杉が育つに十分な間、海が襲って来なかったということを意味する。杉に比べれば遥かに短命な人類が、津波の記憶を留めることは難しい。杉並木は県指定重要文化財であり、地域のプライドでもあった。日光と言えば東照宮とその並木と言う程に、大雄寺とその杉並木は南三陸そのものであった。その杉が枯れた。杉は齢を重ねるほどに格が上がると言う。年輪は齢を重ねるほどに狭くなり維管束が詰まり材質は固くなる。