音のはなし

高周波は人間の耳に聞こえているか その2

その実験の結論から出てきたことは、まず、音の聞き方には二通りあるということでした。ひとつはエレクトロ・シグナルというもので、耳から聞いて頭の中で理解する。もうひとつはケミカル・シグナルといって、ミミズとかの小さな生きものや、原始的な生物は、ある種の化学物質を出して伝達方式で理解するというものです。

それで実験の結果ですが、人間は70kHzの高周波をちゃんと聞いている。耳からではなく、それは骨伝導で。脳幹を伝って生命維持を関与する延髄で、ある種の化学物質を出し、音の判断をしています。

人間は通常の場合、エレクトロ・シグナルで音をぱっと理解していますが、高周波の場合、脳幹で反応するケミカル・シグナルで伝達されるので2~3分ほどの時間がかかります。なぜかというと、人間のもともとの姿というのは、一番原始的な生命体であって、それが脳幹で反応するのです。ですから高周波を聞いて、音のいい悪いを判断するまでに少し時間差がある。レコードを聞いて、後間差がある。レコードを聞いて、後からじんわりと「いいなあー」と感じた経験はありませんか。思いあたることがあったなら、それは高周波を聞いていたという確かな事実です。

大橋先生は自分の体験を通して、そこに気がつき科学で初めて証明をした、いわば、すごい発見だったわけです。