音のはなし

高周波は人間の耳に聞こえているか その3

大橋さんに『AKIRA』の映画音楽、高周波を含んでいる音楽と、いない音楽の両方を視聴させてもらうと、その差は歴然、ぜんぜん違って聞こえました。例えるなら、だしの入っているみそ汁と、入っていないみそ汁くらい違う。しょっぱい、しょっぱくないは測れますが、うまみは測れない。それと同じことが音の世界でも起きていて、これまで科学では説明がつかなかったことを大橋さんは、その実験を通して明らかにしました。

いまや配信で音楽を楽しむ時代。配信は電気なのでスピーカーの性能がよければ、高周波を含む音が楽しめると大橋さんから聞きました。CDは20kHzまでしか入らないので、むしろ配信の方が高レベルの音が聞けると。レコードで聞く音には、奥行きがあって広がりを感じるような感覚は漠然としていましたが、そこには高周波が関与し、大橋さんの勘は見事に正しかったのです。

その高周波ですが、癒し効果もあると聞きました。世界各国の民族音楽を奏でている楽器、笛や太鼓などかも高周波は出ているし、風や木々がゆれる音、川のせせらぎや海の波の音にも高周波が含まれ、自然の中にいると心が落ち着くというのは、音とも大いに関係していたのです。
雨風がダイレクトに感じられる木造の日本家屋の素晴らしさも、じつはそういうこととも繋がって、体は自然に反応し、心地よさを楽しんでいたわけです。しかし人工的な建物では、それは望めません。