音のはなし

人間は自ら音を選ぶ能力をもっている

気持ちがいいと思う音楽や、安心できるジャンルの音は、高周波が関係しています。風や水の音、鳥や虫の声、そういう自然の音にも高周波が含まれていて心が落ち着く。あと、ほかにどんなものがあるか。母親の声、ここにも高周波がはいっています。そして母親の心音にも。子どもたちにとって、母親の声や心音はなにより安心できるとても大事な音です。

では、あなたが友達に何かを相談する場合、どこでしますか?シーンと静かな会議室を借りてはしないでしょ。喫茶店に行ったり、僕なんかの学生時代だとクラブに行こうかって。音楽がガンガン鳴っているようなところで話をしたりするわけです。高周波かどうかは別にして、いろいろな音が混じり合うと心は落ち着く。いま思うと、その状況に適した音を本能的にチョイスしていたわけです。

脚本家でもある宮藤官九郎さんを知っていて、彼はファミレスでいつも脚本を書いていると聞きました。静かなところより、適度なバッググラウンドノイズがあることで脳が回りはじめる。音に対して無意識でいますが、音を選ぶことはとても大事なことです。その能力を人間は持っている。

ふだん何気なく私たちがやっていることは物事の真実で、日常の習慣と深く繋がっていたりするものなのです。