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二日目 その六

2022/12/2

真っ暗である。街灯などあるわけがない。それどころか私の目にはどこまで道なのか全くわからない。河原にしか見えない。雨が降り始めて土や岩を洗っている。運転手は本当のプロである。しかし困難は奥の細道を抜けた先の集落で起きた。集落の中というのは渋滞が起きがちである。なぜかといえば民家が道路きりぎりに迫り出していて待避所が存在しないからだ。例によって巨象のTATA軍用車に行き当たった。運転手は慣れた手つきでバックをして道を譲り、道端の民家ギリギリに寄せる。とその途端嫌な音が。プス。パイプを踏んだらしい。道を譲ってもらった軍用車の運転手も気がついたらしい。気の毒そうな顔をしてくれる。だけどくれるのは気持ちだけ。行ってしまった。携帯は全く繋がらない。どうするかと思ったら、運転手は全く動じない。まるでガソリンを給油孔に入れるくらいの手軽さで、タイヤを車体下からの取り外す。手際がよい。この程度のパンクは日常茶飯事なのだろう。案内のバスダさんまで加わってジャッキをクルクルと回している。日本国内ではこう見えてかなり対応力があるはずの私であるが、彼らを見ていると自分が極めて無力に見えてくる。なんとかパンクをやり過ごし小一時間暗闇を揺られると、目的地である施設ジャムセイガッツァ側の集落に行き着く。夜中だというのに人が出ている。ここの人たちは働き者である。かつて日本人は働き蜂と言われていたが、今や彼らに比べるべくもない。

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