間尺に合わない物を集めている。一つはうなぎ。もう一つは間伐材。うなぎの稚魚は皆同じ速度で育つわけではない。効率重視のうなぎ産業にとって不揃いは不採算である。だから育ちの遅いうなぎは廃棄される。私は晩熟型で中学校までクラスで1番か2番小さかった。人間界では背が大きければエライ訳でないが、私はうなぎであれば廃棄される運命にあった。人間社会では勉強の偏差値がこれで、早熟な人間がエラいと勘違いされている。嫌ですね。しかし今回はウナギの話。この捨てられるウナギを集めて育てるという。なんで落ちこぼれるかというと、成長期と餌の関係に理由があるという。ウナギの稚魚は皆同じではない。ウナギの稚魚は小さい時は離乳食が良くて、大きくなるに従って餌を変えて育てる。ところがそのペースに合わない稚魚がいる。人間で言えば私のような早生まれ。まだ離乳食を食べるべき時期に、給餌のペースは次の幼児食に移行してしまう。発達についていけない稚魚はお腹を壊してさらに成長が遅れる。どんどん発達が遅れるから差が開く。人間社会の落ちこぼれのできる過程と同じである。自然界であれば、それなりに自分にあった時期に自分にあった餌を探せばいいが、生簀では落ちこぼれとなり廃棄される。その落ちこぼれを集めて、その成長段階に相応しい餌を与えると、ちゃんとうまいウナギに育つという。どっちにしろ人に喰われてしまうところがウナギの悲劇であるが、成長の遅い落ちこぼれをちゃんと育てているというだけでなんとなく救われている気がする。